「はいチョコ!」
「ありがと!私からも!」
朝イチから教室に聞こえる会話はこんなものばっかり。
そう今日はバレンタイン。私はそんなタイプじゃないから作って友達にあげるなんてことはしない。
「おはよ!はい!」
と言って友達は私にチョコを差し出した。友達も同類と思っていたのはどうやら間違いだったらしい。と言っても私は超甘党だからもらって喜ばないはずがない。
足早に家に帰りもらったチョコを机に出す。同級生から2個と先輩から3個。思っていなかった戦利品達に頬は緩むばかり。早速いただいたがすぐに私の手は止まった。生チョコの群れに勝てなかったのだ。甘党と豪語していたのに情けない。
「人間みたいだなー」
自然とそう思った。人と仲良くなればなるほどその人がわかってくる。それは良いところも悪いところもだ。そこからまた深入りしていけばいつか嫌いになる。
私がそうだ。
私がいつも通う学校。いつも話す友達。
みんなみんな優しい人。だけどそれだけじゃない。
話せば話すほど、一緒に過ごせば過ごすほどその子ことが嫌いになる。というかダメな部分しか見れなくなるのだ。このチョコをくれた仲の良い友達も他の子も。私はみんなみんな心のどこかで嫌っているんだ。だけど離れられないのだ。みんなそれだけの人間じゃないから。そして1人は辛いから。
「人間って面倒だな」
今年のバレンタインは今までよりちょっとビターな日になりました。
2/15/2024, 8:20:36 AM