無音

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【31,お題:突然の君の訪問】

ドダドダドダッッッッ!!!!!!!

...今ものすごい音が聞こえた気がする。...気のせいだよな、きっとそうだそう思うことにしy((

ズッシャンドシャンズドドガガガアァァァンンン!!!!!!!

うん、気のせいじゃないなこれ!

手にあった本を机に戻し、急いで地下への階段を3段飛ばしで駆け降りる
なんか、すでに焦げ臭い気がするが...

「おい類!今度は何を爆破した!」

言いながらドアを開け放つ
めちゃくちゃに散乱した機材の真ん中に、煤にまみれた顔がひょっこりと覗いた

「やあ遥くん!今日も実験日和だね!」

「地下室まっ黒こげにしてなに言ってんだよ...」

床だけじゃなく、壁にも天井にも煤が...しかも前より傷が増えてるな
そのうち類に建物ごと壊されそうだ

「まあまあ、そんな難しい顔しないで。今日は良い日になるよ、僕にも君にとってもね」

「良い日?」

「そろそろかな?、3...2...1...」


「うっ!?何でこんなに焦げ臭いんだ...?」

「ゼロ」の声と同時にもう1人の声が重なった。上の階からだ
地下から1階に戻ると、漂う焦げ臭い匂いに鼻を覆っている訪問者がいた。

「駿!?」

あまりに突然の訪問に、何事かと身構えてしまう

「...そんなに構えなくても何もないから安心しろ」

「やあ駿くん、君からなんて珍しいじゃないか」

類が階段を上がってくる
...部屋は片付けたんだろうな?

「来たかったから来た、別に特段用事もない」

「そうかい、じゃあ久しぶりに3人で出かけようじゃないか」

幼馴染みだった俺たち、中学を出てからはみんな疎遠になってしまって
なかなか会えない、会えても3人揃うことができない日々が続いていた

「良いなそれ、鞄とってくるから少し待っててくれ」

長らく使ってなかったショルダーバック、俺の誕生日に2人がくれたものだ
俺も、少し懐かしさを感じるほどには寂しかったんだろう

きつくなったベルトを少し緩めて肩にかけ、スマホと財布を突っ込んで外に飛び出す。
3人で昔そうしたように、横に並んで歩きながら。どこに行くかと話し合う

少年の頃に戻ったような感覚に、なんとなく安堵しながら
俺は石畳の上をほんの少しだけ、スキップしながら歩いた。

8/28/2023, 11:02:52 AM