松乃かぐら

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ご飯できたよー。お母さんの間延びした声でふっと集中力が切れた。
慌ててスマホを確認してみると、時刻はすっかり正午を回っていた。朝食を取ってから自室にずっと籠っていたようだ。

机の上に意識を向けると、ノートの傍らに置かれた青チャートや乱雑に積まれた問題集たちが目に入る。同時にそれらに書き込まれたいくつものバツ印と訂正にくらりと眩暈がする。

今度の定期考査では何が何でも点数を取らなければいけない。それが成績表の良し悪しに直結し、そしてその良し悪しは私が第一志望の大学への校内推薦を勝ち取れるかに直結するからだ。

校内推薦の枠は非常に狭き門だ。加えて私の志望校は学校自体の人気も高く、学年中の校内推薦狙いの生徒がこぞって枠を勝ち取ることを目指している……らしい。
運動や芸術が特に秀でているわけでもなく—つまりスポーツ推薦やAO入試には勝ち目がない—かといってなんとかオリンピックみたいな研究活動で素晴らしい結果を残してもいない。
この平々凡々ガリ勉少女がその有象無象のライバルを蹴散らすためには、圧倒的な成績という武器で殴り込みをかける他に術はないのだ。

 両手を組んで目いっぱいに上へと伸ばして長時間の勉強でガチガチになった肩と腰を労わる。
さあ、昼食を取ってからもうひと頑張りしよう。

テーマ【束の間の休息】

10/9/2023, 2:53:40 AM