6おにぎり9

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ふぅ……
肺にためた紫煙を吐きながら 天井を見つめ
ゆっくりと目を閉じる

トントン… 車のガラスをノックして
助手席に乗り込み 「…」

お疲れ様 そのまま自宅ですか? 何処か寄りますか?
……
ここまでの流れはテンプレ
用意した飲み物を差し出し
では、自宅まで送りますね。
真夜中の車の中 に君が好きだった曲だけが響く

好きな飲み物も好きな曲も
君が教えてくれた
私が知ってるのは過去の君

ミルクティーを一口飲み窓を開ける
いいですか?
視線をこちらに向け また携帯に
返事が無いが これは、どうぞ のサイン
過ごした時間の長さに会話は不要か…
「ミルクティーまだ、飲んでるんだ」
珍しく飛び込んできた会話にむせながら
えぇ… 今では私の1番好きな飲み物なんで
「…」
あー そう言えば 私今月で辞めるんですよ…
「…」
なので今日の送迎が最後になります。
色々ありましたが、ありがとうございました。
また、こうして会えて良かったです。
「…」
「そっか」
そう呟いて車から降りる 背中から聴こえる
君の「またね」が耳に残ってる

お…さん
おとーさん ご飯ー

ふぅ……
肺にためた紫煙を吐きながら 「今行くよー」
ゆっくりと目を開ける
いつかの遠い日の記憶

7/17/2023, 3:27:13 PM