「あぁ、また·····」
軌道を外れていく姿を見つけ、呟いた。
青い星の大気に引かれて、同胞の命が燃え尽きようとしている。
自らの体に火をつけて、宇宙で一番美しい星を少しでも近くで見ようとぐんぐんスピードを上げて、彼は堕ちていく。ワタシはその様をただ見ていることしか出来ない。
大気圏に突入した彼は、少しずつその身を削っている頃だろう。間近に見る青い星は、彼の目にどう映るのか。ボロボロになりながら、それでも青い星に根付く命に瞳を輝かせているのだろうか。
ワタシには分からない。
同胞達が美しいという青い星が、ワタシの目にはちっとも美しく見えないからだ。
みんな何故、あんなにもあの星に惹かれるのだろう?
水と生命に満ちている、それがそんなに尊いものなのだろうか?
あの青い星の、最も知能が高いという生命体は燃え尽きようとしている同胞の姿に願い事をするという。
お金が欲しいとか、恋人が出来ますようにとか、ワタシには何のことだかさっぱり分からないけれど。消えていくものに願ったところで叶うはずがないのに。
青い星に惹かれて、体中に炎をまといながら堕ちていく同胞達。
その姿を見送りながら、青い星を横目に見ながら、ワタシは軌道を外れることなく旅を続ける。
「さようなら」
もう跡形もなく消えてしまったであろう彼。
次に見るのはまた何十年か後になるであろう青い星。
ワタシは絶対、あの星に惹かれて堕ちたりなんかしない。
END
「流れ星に願いを」
4/25/2024, 2:30:16 PM