12歳の叫び

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嵐が来ようとも、わたしの幸せは持っていかせない。
最近、ずっとずーっと幸せなんだよ? 貯めてたお金で化粧品を買って、ヘアケア用品も買った。スキンケア用品もね。肌荒れが治ってきたし、髪の毛も理想に近づいてるんだから。
去年できなかった、旅行の後のお泊まりも今年は出来る。私、幸せなの。
お願いだから、幸せのままで生きさせて欲しい。

――そう願った二日間。
でも、夏休みが開けたら、テストが待っていて。
私、一回目の学力テストで14位だったの。そしたら三者面談でね。
「次は1桁めざしてね」「部活に入っていないので、リーダーとかやらないと、部活をやってる子との差が埋まりませんよ」「漢検と英検受けようね」「期待してるよ」「〇〇さんは、リーダーが向いています」「他の子との交流が少ないですね〇〇さんは」「他の子と比べたら大人ですよ」
全部全部怖くて、やりたくなかった。嬉しくなかったよ。
リーダーなんてやりたくない。できない。大きな声も出せないのに、向いてるわけないじゃん。

――雷が凄かった。
雨も凄かったなあ。
そんな夏まつりの帰り道。
面談で話されたことについて母は口にした。
「リーダーが向いてるって言われたんだよ」
そういった時、さっきまで楽しかった夏祭りの屋台の灯りが、他人の心に咲いた明かりのように思い出した。
笑顔もなくなって、嫌そうにしていた私を見た姉が言った。
「嫌なら嫌って断りなよ?」
嬉しかった。心に寄り添ってくれた。いつも寄り添ってくれるのは姉だけだった。
苦しいし、もう辞めたいし、死にたいし、でも楽しいことも少しだけあるから死ねないし、勉強しなきゃだし、でもやりたくない。

――やっぱり、嵐が来ようとも。
普通でいさせて欲しい。

7/30/2024, 12:59:04 AM