かなで

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日の出

あれは若かりし頃。
夜勤で朝日が差し込み、まだ動き始める前の静かな病棟で窓から差し込む朝日を感じるのが好きでした。見るというより少しずつ明るくなっていく病室の窓の景色が。
そんな静かな日ばかりではもちろんないけれど、もう少しで勤務が終わる安堵感と、もうひと踏ん張りだと気を引き締めるふたつの思いが天秤のように揺れてる感じ。

結婚し子供が産まれ、その子供が入院したことがありました。
消灯後からの不安な気持ち。何かあったらどうしようという焦燥感。
付き添っていた病室に朝日が差し込み始めた時、夜に何も無くてよかったと日をこえたことに安堵した気持ちを覚えています。
入院している時の日の出ってこんな気持ちになるんだと、ふたつの立場を思う朝でした。





1/3/2023, 2:01:22 PM