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ふと見上げた空には
広がる鼠色の雲
湿った風が頬を撫でた

そろそろ
降るかな

僕は天日干ししていた座布団を
部屋に置くと

雨戸を閉めた


部屋の電気を付けると
テーブルに置いてあるスマホが鳴った

はい
もしもし

「もしもし お兄ちゃん あたし
今お兄ちゃん家に居るの?」

妹からだった

居るけど なに

「あー見間違いかあ お兄ちゃんと
すれ違った気がしてさーさっき
声かけて知らんぷりされたから 
何って思って電話したんだけど…」

「ついでに駅に傘持ってきてよ〜」

分かったよ

電話が切れたあと
僕は傘を用意して

近くの駅まで歩いた

ポツポツと雨が降り出した

お兄ちゃんー!こっちー!

妹を見つけて歩いて行くと

妹のそばに男が居た

この人と一緒に暮らそうと思ってるの

妹が嬉しそうに言う

ちゃんと料理作れるのかよ

僕が聞くと

自分が作ります

と男が言う

僕は少し寂しい気持ちになったけれど

妹が決めた事だし

二人に
仲良くやれよ と

声をかけた


ーーそして

妹が

家を出る日が来た

またね!お兄ちゃん

と扉を開ける妹に

僕は

…うん

としか
言葉が出なかった

8/20/2024, 10:15:06 AM