よらもあ

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黄道十二宮のうち11番目、宝瓶宮の主人は美しく、聡明で、誰からも愛されていた。

その美しさにあらゆる星の瞬きが跪くが、その全てを鼻で笑い、あるいは笑うこともなくあしらう。
その聡明さは予言とすらいわれるほどであるが、それを誰かに分け与えることはない。
常に携える水瓶から流れる水でも酒でもあるそれは全ての生命の源であり、美しく聡明な主人はそれを絶えず星の瞬きの中に流す。


周囲に関心を寄せず、反骨的で、けれど星々を愛する自己のみで完結する世界はまさしく水瓶から流れる色と同じ、何物にも染まることのない美しく聡明な主人の無色の世界である。






“無色の世界”

4/19/2024, 5:06:58 AM