「今度の冬休みは地球に行こう」
パパの提案に乗っかって、今年は年越しを地球で過ごすことになった。
なんでも今年は地球旅行にはぴったりの年らしい。
今年の年越しは、奇しくも地球の年越しとぴったり時期が合うらしい。
こんなことは数万年に一度のことなんだって。
ということで、私たちは急遽、星間旅行の準備をすることになった。
宇宙船を予約して、星間パスポートを申請することになった。
旅の準備、服とかおもちゃとかは各自ってことになって、私はプーイのぬいぐるみを連れていくことに決めた。
心配性なママは、通信機と武器を新調した。
楽観的なパパは、旅行ガイドに印をつけた。
お姉ちゃんが、原地生物の混乱防止にって、催眠用のンジャラホが必要なんだよって、検索機の画面を突きつけながら説明した。
お兄ちゃんが、原地生物を一匹くらいお土産にしたいから、確保用のンジャラホも欲しいって言った。
地球は初めてだから、みんなワクワクしていた。
ワクワクしてた…のに。
地球についた途端、攻撃に遭った。
なんで
地球は比較的安全な異星のはずなのに。
私たちの地球侵入は原地生物には見つからないはずだったのに。
誰かが私たちを騙したんだ。
旅行会社の誰か?レンタル宇宙船会社の誰か?お隣さん?
絶対に許せない。
私以外の家族はみんな捕まってしまった。
地球の原地生物に。
何をされてるか、どこへ連れて行かれたのかも分からない。
幸い、宇宙船の攻撃機構は無事だし、武器もある。
そして、私は無傷。
私の代わりにプーイが連れていかれちゃったから。
だから、私は戦える。
原地生物に脅しだってかけられる。
ここの生物は存外小さいし、私は戦闘性だから。
ケンカは強い方なの。どうにでもできる。
だから私が連れ返さなきゃ。
そして、裏切り者を、私たち家族を騙した奴を捕まえて、倒してやるんだ。
私の楽しい冬休みを返してもらうんだ。
もしこれを翻訳している原地生物がいるなら、私の要求を書いておく。
プーイを返して。
家族を返して。
私の冬休みを返して。
それが達成されるまで、私はこの星で暴れるつもり。
いざという時に原地生物を襲うのは、大丈夫だったはず。
お姉ちゃんが検索機を触りながらそう言ってた。
だから、怒らないでね。
私の冬休みを返して、ヒト。
じゃなきゃ、つぶしちゃうんだから!
12/28/2024, 2:05:45 PM