シオン

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 いつもは晴れなのに、今日の空模様は豪雨に雷の重ねがけだった。理由は僕なのだけれど。
 権力者が僕に冷たい。
 話しかけても『今忙しいから』、演奏を聴きに来てと誘っても『後じゃダメ?』なんて言ってくる。
 どう考えても僕のことを軽んじているような発言にしか思えない。
 で、ムカムカイライラしていたらなんか魔法みたいなのが使えるようになっていていた。たぶん、元神様候補の力だ。
「…………演奏者くん!」
 若干怒っているのか頬を膨らませながら権力者がやってきた。
「天気、戻して! てか、なんでこんなんにしてんの?」
「……きみが僕のこと軽んじるからだろう」
「…………忙しかったら忙しいって言うでしょ。恋人でもないんだから、すっごい優先する理由もないし」
「じゃあ付き合おう」
「………………は?」
 彼女を独占する理由が欲しくて僕はそう言った。

8/19/2024, 2:57:07 PM