黒咲由衣

Open App

僕は知らないうちに、抑圧され続けてきたんだと思う。

18になってやっと、門限が撤廃された。
今までは午後6時には家に着かないといけなかった。
門限を破ったらこっぴどく叱られて、
次の日はスマホを取り上げられてしまうので、
僕は従うしかなかった。

そもそも、与えられたスマホも連絡用で、
保護者権限で隅々までチェックが入る。
学校の友達にゲームを誘われても、
インストールするのにいちいち許可が必要だった。

厄介なのが、大抵、インストールを拒否されること。
家族との連絡用に、と入れたLINEくらいしか
まともなアプリは入れさせて貰えなかったんじゃないか。
僕はもっとソシャゲをやってみたかったのに。
2次元の女の子とキャッキャウフフしたかったのに。
今まではそれが叶わなかったわけだ。

それもやっと撤廃された。
18になって、やっとだ。
曲がりなりにも成人したんだ、
そう強く噛み締めた。

特にそうゆう意識が色濃く出たのは、
空の色の変化だった。

今まではお母さんに怒られるのが怖くて
早め早めに家に帰っていたので、
空を見る暇もなかったのだが、
やっと気づいたことがある。

門限であった時間を過ぎると、
空はどんどん色を変え、深みを増していくこと。

こんな空、知らなかった。
淡い光が水溜まりを染めていくのを初めて見た。

僕も18なのだから行こうと思えば
パチンコ屋にでもなんでも行けるのだが、
そんなことより、星が綺麗で仕方がなかった。

僕は今日も、愛すべき『彼女』を携えて、
夜の地元を散歩するのだ。
新たな星を見つけるために。

まだ見ぬ景色を求めて

1/13/2025, 5:29:52 PM