作品No.19【2024/04/19 テーマ:無色の世界】
「雨、か」
私は、立ち止まり、空を見上げて呟いた。どんよりと灰色に曇った空から、止むことなく静かに降り続ける雨は、傘を差さずに歩く私を、ただ濡らし続けている。
まるで、私自身も雨の一部となり、透明になったかのような気分におちいった。
周囲の景色も、雨でぼかされて、私の周りには鮮やかな色は何一つない。例えば花の一つでも咲いていれば、この世界にも少しは彩りというものがあったのだろうか。
顔に、次から次へ雨が降りかかってくる。
私はまた俯いて、無色の世界をひとり歩き始めた。
4/19/2024, 6:49:22 AM