心のざわめき
風鈴も揺れないくらいの小さな心のざわざわが次第に大きくなり、その奥底にめきめきと立派な根を成した。
たいして仲良くもない彼女を目で追ってしまうのは、彼女がただ単純にかわいらしくてその一挙一動に癒されるからだと思っていた。仲良くなってからもそれは一緒で、彼女に親友だと位置付けられるほど近い距離になってもそのかわいらしいという最初の感情は消えなかった。むしろ色々な一面を知るにつれ、その全てを愛おしいと感じるようになった。明らかに他のどんな友達とは違う感情を持っていると気づいた時には、もうしっかりとした根が張られていたからどうしようもなかった。
この気持ちを伝えることは一生無いと思っていたし、伝えたからって自分が夢見た将来にはならないと分かっていた。そんなのとっくに分かっていたはずなのに、彼女がパートナーと幸せになると聞いた時は全てを投げ出したくなるくらい狂いそうだった。立っていることもままならなくて、涙も怒りも全ての感情がぐわんぐわんと揺れ動いて、頭がおかしくなりそうだった。心に張った根はめきめきと大きな木になり、自力で切り倒すのには難しくなるくらいまで育っていたのに、彼女の一声で天変地異が起きたかのようにざわざわと荒れた。葉が落ち、花が枯れてもなお、その根はびっしりと地に張り付いたままで自分が持つ彼女への執着心に呆れさへ覚えた。あー、これからどうしよ。
3/16/2025, 5:06:49 AM