『教えられなかった言葉たちへ』
語ろうとした、幾度も
だが口にすればするほど
本質は逃げ水のように消えていった
どうして伝わらない?
なぜ、届かない?
怒りと疲れが、喉の奥に溜まっていく
言葉はあった
けれど、それは「教える」には重すぎた
理解させるには、
あまりに深く沈んでいた
だから、筆を取った
教えることをやめて
物語に預けることにした
誰かに伝えるのではなく
誰かが自分で気づくために
語らずに語る
教えずに導く
光のような、影のような、
静かな旅を紡ぐために
この手は選んだのだ
「小説家」という
孤独で、温かい、
語りの道を
6/13/2025, 11:04:46 AM