「本当に、アナタは美しいわね。さすがは私の娘」
それが、ママの口癖だった。みんな、アタシの美しさを誉めそやす。そして決まって言うのだ。
「お母さんに、よく似てるね」
長くツヤのある髪。透き通るような白い肌。
キスしたくなるようなジューシーな唇。吸い込まれそうな魅惑的な瞳。抱き寄せたくなるような華奢な身体。
写真で見た若かりし頃の、ママの生き写し。
アタシにとってそれは、最大の褒め言葉で誇りだった。
ママは、アタシの髪を優しく撫でて囁いてくれるの。
「アナタは、私の娘。私がお腹を痛めて産んだ美しい娘。
美しい私から生まれた特別な子なのよ」
毎日、繰り返し繰り返し。その度に、幸せな気持ちになるの。アタシ、大好きなママにとっても愛されてる。
いつも、忙しくて普段は会えないけど夜が深まった時間には会いに来てくれてアタシとお話ししてくれる。
ママのそういう優しいところが大好き。
優しくて心配症だから、男の人とあまり仲良くするととっても怒るから近づかないようにしてる。ママが悲しむことはしたくないもの。
アタシの世界は、ママがすべて。アタシの1番の理解者なのよ。だって、アタシを産んでくれた神様だもの。
これからも、ママとずっと一緒にいたい。
そして、もっと愛されるためにお利口さんで美しいアタシで居続けなければならないわ。
ああ、このまま時間が止まればいいのに。
「時間よ、止まれ」
9/19/2024, 11:18:08 AM