それは、実際には、1分にもみたない時間
であろうか?
二つにとっては、数時間にも感じていた。
わたしは、数十年に及ぶ修行に末にたどり着い
た奥義を惜しげもなく、繰り出す。
一の掌。それは音を置き去りにして、頭上より
黄金の掌のひらが舞い降りる。
二の掌。両掌のひらが挟み込む。
ふたつは、死と隣り合わせの戦いのなか、
笑みを浮かべいた。
だか、それも終わりのときが訪れ、
わたしの両足は突き刺された。
やつは、そのとき、涼しい顔で、傷一つない。
その次の瞬間、一瞬の怒気を孕んだ、
そうはいっても、やつにとっては、
児子を叱りつけるくらいなのだが、
オーラを感じた。
それとともに、奴は、わたしの耳元にいた。
プーん、プーん‥。
「しまった」
だか、やつは、これで済んだかという
顔をしただけだった。
そのまま、壁に鎮座し、胡座をかいていた。
「お前に免じて、数人だけなら、生かして
おく」とのことらしい。
わたしは生まれたばかりの赤ちゃんの
その愛らしい顔をみた。
「それはできねぇんだよ」。
全オーラを込めて、口に吸い込み、
吐き出す。
やつの驚きの表情とともに、
背後から、光に包まれるように被弾した。
「やったか」
一面は腐ったドブのような空気にまみれた。
しかし、プーん。
「あっぱれ、褒めて遣わすぞ」とやつ。
わたしは全身の力を使い果たし、もはや、
死を待つだけの体になっていた。
しかし、ここに来て、わたしは不敵な笑みを
漏らした。
やつも、ただならぬものを感じたらしく、
生まれて始めて、しまうまがライオンに
食べられる恐怖を感じていた。
「人間を舐めるなよ。」
「俺は1人ではない。」
奴が逃げようとした瞬間。
細長いスプレー缶を取り出し、吹きかける。
ものすごい白い爆風とともに、
やつの体は消し飛ぶのだった。
8/8/2023, 10:35:43 AM