昔、どんぐりを拾っては集めていた。つやつやしていようが、ボロボロに汚れていようが、虫がはい出してきてもお構い無しだったから、母親はさぞ苦労しただろう。
もらったバスケットに積まれていくどんぐりを眺めていると、達成感みたいなものがあらわれてきて、まあ気分が良かった。
そしてこの世のどんぐりを全て集め終わったんじゃなかろうかという頃、隣に住んでいた気のおかしなおばちゃんがどんぐりたちを燃やした。今から思えば気のおかしいのは自分の方だったのかもしれない。
ともかく、そこで自分は世の儚さを悟ったのである。あと、どんぐりはそんなに価値があるものじゃないということも。
11/21/2024, 9:20:34 AM