この道の先に何があるだろう?右へ左へ、気の向くままに進む。見通しのいい明るい道と、木がうっそうと生い茂った暗い道。おばけが出てきそう!と暗い道を選んだのに何も出て来なくて、その先の分かれ道では蜂が右側に飛んでいったので巣があったら怖いなと左を選んだ。曇り空で影から方角を推測することも出来ない。自分の位置も分からない。私を呼ぶ声が聞こえたので向かったら植え込みの壁を隔てて誰かが後方へ走り去っていった。止める間もなかった。気にせず気の向くまま、足の向くままに進む。この迷路も無限ではないのだからいつか何処かには出るでしょう。
「見つけた!」
後ろから大きな声が聞こえて振り向く。よく知った人が肩で息をしながら駆け寄ってきてガシッと手首を掴まれた。力が強くて振りほどけそうに無い。
「迷子は安易に動き回らないで下さい!」
「探す声が聞こえたから追いかけたんだけど、おいてかれて……もう元の場所に戻れないからいいかなって」
「良くありません。次からは迷ったと思ったらその場から動かないで下さい。こちらで必ず見つけますから。いいですね?」
「探されるにしてももう少し分かりやすい場所に移動できればと…」
「いいですね?」
「……はーい」
次は晴れた日にこの迷路を散策したいなぁ。
7/3/2024, 12:59:39 PM