いつもどおりの帰路に着いた
「もうやだ、お仕事やめるぅ…」
月の明かりも雲のせいで届かない
切れかけの街灯だけが僕のスポットライトだ
上司は今日も理不尽に僕にキレるし、最近入った後輩も何故か最初からナメてかかってくる
「俺の何が悪いんだよぉ…」
「何も悪くないんじゃない?」
「へ?」
声のする方を振り返るとそこには猫がいた
「猫が…喋った…ついに俺も頭が?」
「いや、もっと顔上げてよ」
さらに顔を上げるとそこには箒に跨がった中性的な顔立ちの少女がいた
…夢だろう
ほら顔をつねると…痛いじゃないか
やっぱり夢か
いや、痛いのか、夢じゃねえわ
「夢じゃねえのかよ…じゃあ病院行かなきゃ」
「ねえねえ、話聞いてよ」
「分かるか?こっちは誰かにこの状況を見られてないかって不安でしょうがないんだよ」
「見られたらどうなるの?」
「そりゃ通報されてだな…」
言いかけたその時
少女は何か小さい声を出し
空が一気に晴れた
夜だと言うのに月がやけに眩しい
「君を助けに来たんだ」
コイツは自由過ぎないか?
というか今何が起こった?
空って一瞬で晴れるんだなぁ、なんて思いつつ
「詐欺はお断りしてます」
「君に助けてもらったからね、これは礼だ」
「いや、話聞けよ…お前まで俺を無視するのかよ…」
「君は、何が悪いのかと言ってたけど」
「やっぱ無視なのね(泣)」
「困っている迷子を助けるような人間が悪い訳ないよ、まあ、私は人間じゃないけど」
何言ってんだコイツ、と思いつつも目の前の現実(幻覚?)は僕を久しぶりに昂らせた
「人生ってもっと面白いものだと思うよ?とりあえず退職願はもう君の職場に出しといたからさ」
「は?」
「とりあえずさ…うちで働かない?」
人生何があるか分からないもんだな
きっと今日は特別な夜なんだろう
1/21/2026, 11:55:40 AM