蒼月の茜雲

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テーマ“意味のないこと”(小説です)

「私が思う意味の無いことは
今!生きている事です」
クラスで国語の時間に、自分の書いた
【自分が感じた事を作文にして発表しましょう】
とか言うくだらない授業の時に
声たかだかに、そんな事を発表した生徒が居た。

周りはざわついた。
先生は凍り付いた。
「命を軽んじている訳ではありません。
生きている事がくだらないと思っているわけでもありません。
そもそも、生きている事に何の意味があるのか、私は分からないのです。
地球を救うヒーローでも無ければ、誰かを救うお医者さんでも、誰かを裁く検事、裁判官でも無く、誰かを守る警察や弁護士でもありません。
将来の夢と言えるほどの目標も無く、ただ自堕落に生きているだけなので、今、私が生きている事はとても、意味のない事なのだと感じます。
この人が居なければ世界は滅びるくらいの意味がある人では無いので、
私は、今、生きている事に意味は無いのです。
ただ、生かされている人間のうちの一人でしかないのです。
でも、それでいいと思います。
無理矢理、何らかの責任を負わされそうになるのは、とても窮屈だと感じるので、特に生きてる事に意味がない人間の一人で私は満足しています。」

その生徒は、そう一気に読むと、お辞儀をして
着席した。
1拍遅れて、パラパラと拍手が起こる。
理解はしていないようで、首を傾げている生徒も居る。
とりあえず、発表が終わったら、拍手をしましょうという暗黙のルールで、拍手をしているだけだろう。

その後に、発表する人は、とても
やり辛いだろうなと思いながら、自分の番が来るのを待つ。

まだ、先だけど、とても発表し辛い。
あの発表を聞いてから、自分の作文を見返すと
なんて陳腐な文章なのだろうと、そう感じる程に、
あの人の文章は、私に刺さってしまったから。

11/8/2023, 3:06:12 PM