冷たい風が足の隙間を縫って吹き抜ける
この前少しだけあったかくなったと思って、「もう春かなぁ」なんて、柄でもないことを思ってたのに、まだ冬の気配はいなくならない
「うー…さぶい…」
マフラーに口元を埋めて、精一杯縮こまり、早足で家に向かう
周りを歩く人々も、イベントでもないのに、急足で帰路を進んでいる
みんなが思ってることが、手に取るようにわかる
まだまだ冬だなぁ…とか思って歩いていたら、一際強い風が、びゅうっと、何かをさらっていった
寒さで立ち止まり、身を縮こめて足元を見ると、一輪の、名も知らない花が咲いていた
それを見て、心がぽっと、暖かくなった気がした
心に小さな春を携えて、少し背筋を伸ばして、冬の吐息に向かっていった
2/25/2025, 6:30:39 AM