小絲さなこ

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「自堕落な入院生活」

動けないわけではないけど、動く気持ちになれない。
スマートフォンの持ち込みや使用は禁止されていないけど、触る気力も起きない。

昼間は検査と食事以外は寝て過ごしているから、消灯時間である二十一時に眠れるわけがない。


個室ではないのに、まるでひとり部屋にいるかのようだ。
静かな六人部屋に響く空調の音は、余計なものを連れてきてしまう。
手術した箇所を気にしつつ、布団を被る。


こっそりとイヤフォンをつけて聴く、ラジオの深夜番組。
いつもの声に安堵すると同時に、いつもとどこか違うようにも聞こえ、不思議な気持ちになった。


眠りにつくのは明け方。
入院しているのに、昼夜逆転している。

昼間は平気なのに、夜になると襲いかかってくるそれのせい。


────病室

8/2/2024, 3:16:36 PM