時計の針がちょうど上を向いた今まさに24時。
みんなが寝静まる中こっそり家を抜け出して目的の場所まで歩いた。
冬の夜風は心地いいというにはあまりに肌寒い。
「…あーあ、ほんとにきちゃった。悪い子だねぇ、」
目的の場所に先生は既に来ていたみたいだ。
さして悪いとも思ってなさそうな声色でそういった。
ふたりで深夜のデート、なんてロマンチックじゃない?なんて誘いをしたのは私だったか先生だったか。
「先生と一緒に居られるなら悪い子でもいいんですっ、」
手を伸ばした先生の手をとった。
じんわりと冷えた指先から先生の熱を吸い取る。
「家の前まで、迎えに行ったのに」
拗ねたような口調でそういった。
ぎゅっと握られた手にまた力が入ったから手が冷えてたってことかな。
先生の一挙手一投足にどきどきしてはずかしい。
「…はやく、つれてってください」
「っ、もう…さ、乗って。夜はこれからだよ」
はじめてのキスはミッドナイト。
誰もしらないふたりのひみつ。
2024.1.26『ミッドナイト』
1/26/2024, 2:38:24 PM