緋鳥

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大好きな君に

 おかえり!
 今日も帰り遅かったね。どうしたの?そこで寝たら痛いよ?うん。元気ないね?

 君が元気ない時はいつも僕の側に来るね。ずっとそうだから分かるよ。だから僕はじっと黙って、君が元気になるのを待ってる。座って待つのは得意。
 
 ご飯にする?うん。僕もお腹すいたよ。君が置いていってくれたお昼ご飯はちゃんと食べたよ。初めて食べる味だったけど、すごく美味しかった。何?いい匂いがする!

 あ、そうだね。いただきます。

 美味しい。ね。美味しいね。君は食べないの?美味しいよ?けどいつも君は僕がご飯を食べているのを見ている。その時の君は笑っているから、僕は美味しそうにご飯を食べる。

 美味しかった!ご馳走様!

 僕は遊んでるね。君がご飯を食べる間は邪魔しないよ。昔邪魔しちゃって君のご飯をひっくり返しちゃって、お母さんにすごく怒られた。君が泣いちゃって、僕は困ってしまったんだ。だから邪魔しない。

 どうしたの?ご飯終わった?座る?

 僕を撫でてくれる手はいつも温かい。小さい頃からずっと温かい。

 なんか水が降ってきた。何?この味。変な味。
 君の目からまた水が流れてる。大丈夫。僕が舐めてあげるから。そうしたら君はいつも笑ってくれる。そしたら目から水は止まってる。

 舐めていたら、やっと君は笑ってくれた。

「こら、ラッキー」

 僕の名前を呼んで、僕の体に抱きついてくる。昔は小さかった君は、いつの間にか僕の体を追い越すくらい大きくなって、僕は君の膝の上に乗るのが精一杯だ。

「わん」

 一つ君に声をかけて、僕の定位置の君の膝の上に座る。小さな足では君の体の上に登るのも大変だけど、僕はここが好き。

 大好きな僕の妹。大きな僕の妹。大好きな君には、ずっと笑っていていてほしい。

 そしてたまには、おやつをちょうだいね。

3/4/2024, 10:58:13 AM