るに

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光る海を
手漕ぎボートで移動する。
水面に映る星屑は
漕ぐ度に揺れて流れていく。
真っ黒な水が、
静かな辺りが、
ギコ…ギコ…と
漕ぐ音に集中させる。
月明かりだけが
私と一緒に
真夜中を過ごしてくれる。
腕が疲れてきたら
サンドイッチを食べたり、
本を読んだりする。
たまに昼寝して
流れに任せてみたり。
でも結局朝になっても
現在地がわからないまま。
真夜中に光るだけ。
冬だから
空気は寒くて冷たい。
ブランケットは
常に膝にかけておかないと。
雪は降らないけど、
雨も降らない。
瓶で海水を掬うと
星もキラキラと
瓶に入っていくみたいで
いつかの夏を思い出す。
遠い記憶の中、
サンドイッチの味と
星の光だけが忘れられなかった。
ここにあるのに
そこに無いような。
星はよく落ちてくる。
流れるんじゃなくて
落っこちてくる。
空に仲間外れにされて
泣きながら海に。
適当に瓶で掬っているように見えて
実は星を集めてた。
"Good Midnight!"
たくさんの
居場所を失った星に包まれて
今夜はゆっくり
夜に溺れていく。

12/30/2025, 5:56:23 PM