NoName

Open App

「つまんない…」

握っていたシャーペンを机に放り投げ、椅子の背もたれに寄りかかる
テスト勉強を始めて30分
A4プリントの4分の1も終わっていない

「数学なんて今後の人生で使う事はないと思うんだけど…」

ぶつぶつと愚痴を言っていると通話中のスマホから呆れたため息が聞こえた

『勉強を頑張れない奴は今後も何かと理由を付けて頑張れないと思うけど?』

勉強に巻き込んだ友人のド正論に何も言い返せない

「そう言うお前は進んでるのかよ!」

『数学は終わった』

「はぁ!?」

衝撃的事実に思わず声が大きくなる
『うるせぇ』と一喝され、口を閉じる
100問あるのにこの30分で終わるとかバケモンか?なんて思ってしまう

『人をなんだと思ってるんだよ』

怒気を含んだ友人の声に思っていた事が声に出ていたと気が付く

「えーっと…なんだ…その…」

上手い言い訳がすぐに浮かぶはずもなく言い淀む俺

『別にいいけど』

いいんかいっ!と心の中で突っ込む

『つまらない事でも頑張る姿は魅力的だと俺は思うけど、それをするかしないかはお前次第だから俺は知らん』

こいつのこういう所が俺は好きだ

「やりますか!」

放り投げたシャーペンを握り、またテスト勉強に戻る
やる気を見せた俺に友人は『程々にな』と言う

8/5/2024, 2:21:04 AM