タイトル: 空に向かって
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「また負けた…」
少年・翔太はグラウンドに寝転び、真っ青な空を見上げた。サッカーの試合での敗北は、今日で何度目だろう。どれだけ努力しても結果がついてこない。もうやめたほうがいいのかもしれない。
「お前、また空を見てるのか?」
隣に座ったのは、チームメイトの悠人だった。彼はキャプテンで、誰よりも努力し、試合でも活躍する。翔太とは正反対だった。
「なんかさ、空っていいよな。負けても、悔しくても、こうして見上げると、全部どうでもよくなる気がする」
翔太の言葉に、悠人は少し笑った。
「でも、お前は本当にどうでもいいと思ってるのか?」
「え?」
「悔しいんだろ?」
翔太は返事ができなかった。心の奥では、悔しさがぐるぐる渦巻いていた。やめるなんて嘘だ。本当はもっと上手くなりたい。でも、どうすればいいのかわからなかった。
「じゃあさ、もう一回やってみるか?」
悠人がボールを転がしてくる。翔太は少し迷ったが、立ち上がった。そして、力いっぱいボールを蹴った。それは、どこまでも高く舞い上がり、青空に吸い込まれていった。
「お、いいシュートじゃん」
翔太は、自分の拳を握りしめる。まだやれる。まだ終わりじゃない。
空に向かって、もう一度走り出そう。
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4/2/2025, 1:07:49 PM