ハクメイ

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「どうして」
そんな言葉が、こだまの様に反響する。
暗くてじめじめした、そんな洞窟に。
コウモリが潜んで、襲いかかってきそうな場所で。

「どうして」
と言った少年が、目の前のそれを見て顔を青くする。
透明な円柱のガラスに、並々と水のような液体が満たされている。
その中で、いろんな色のチューブに繋がれた少年が、目を閉じて、胎児の様に膝を抱えていた。

「どうして」
少年はもう一度、その言葉を発する。
目の前の少年と、自身の顔。
それが、全く同じだった。
まるで、幽体離脱でもしているかの様な気持ち悪さを感じ、少年は後退りをした。

「どうして」
少年と全く同じ声が、後ろからたくさん聞こえた。
振り向くと、先程まで暗かった壁に灯りが付き、隠されていた彼達が現れた。
みんな同じ顔、同じ姿、同じガラスの中で眠っている。

「どうして」
「こうなったんだ…」
足に力が入らなくなり、ぺたんとその場で座り込む。
彼は、後ろから近づいてきた、もう一人の自分に気づかなかった。
彼はニヤリと笑い、鈍い音を鳴らして、座り込んでいた彼の後頭部を、殴り、気絶させた。

「どうして?」
「それは勿論、キミが望んだからさ。」


お題『どうして』×『生命創造』

1/15/2026, 2:15:49 AM