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ぼくは音楽をつくっている。このくだらない世の中で唯一、真剣に取り組めたものが、それだ。

いざぼくの音を聴く人間は、ぼくのバックボーンなど何も知らないから、何のためらいもなく、稚拙なメロディだとか、歌詞が青臭いだとか、このフレーズは偉大な音楽家の模倣だとか、一方的にぼくを評する。
ぼくはときどき、そんなやつらの人生を評する曲をつくってみたくなる。ぼくはぼくの人生を曲にしている。おまえらは自分の人生を開示することなく、曲からぼく自身をわかった気になる。音楽から、ぼくのすべてをすくいとり、弄ぼうとする。そんなものが許されてたまるか。

ぼくは、音楽だけの人間じゃない。そう言えたら、どんなに良かっただろう。
音を否定されるということは、ぼくそのものを否定されるということに他ならない。おぞましいのは、ぼくが音楽だけで生きているということを知らずにいるにもかかわらず、平気でぼく自身を否定する言葉を投げかけてくることだ。
そんなぼくを哀れに思ったのか、庇う人間も一定数存在する。

所詮は、現実逃避なのだから良いじゃないか。
若気の至りなのだから、あたたかく見守ってやれば良いじゃないか。

ぼくは、ぼくの音をけなす人間より、なによりも。そういうやつらが、嫌いだ。

2/27/2026, 6:22:21 PM