viola

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『眠れないほど』

日付が変わってもう、4時間半も経っている。
昨日一日疲れたからと心地良い安眠に沈んでいたいのに、
如何にも眠れなかった。何度も寝返りを打ってはキツく目を瞑り、夢を待てどこない。
諦めて目を開ける。
あたり一面くらい海の底のようだった。
見慣れた室内ですら少し怖く感じるような、そんな空間にたった1人、取り残されたみたいだった。
思わず手元にいたテディベアを抱きしめる。長く愛用しているからか、既に腑の綿はぺちゃんこになっていて、抱きしめがいがない。それでもないよりは全然良かった。

寂しい、淋しい、さみしい。

暗い部屋には自身の暗い思考が蔓延していると思った。
救って欲しくて仰ぐように首を上に向ける。窓から覗く、僅かな隙間からはこの場よりかは少しばかり明るい黒。
助けてくれ、誰か。助けてくれ。
これ以上周りの人間に敵意を向けたくない。
嫌いになりたくなんてない。
人から離れたくない、まだ社会的動物で居たい。

轟々と窓を打つ夕方から続く嵐の音。
ふと気が付けばその音も止み、いつしか日頃の喧しい喧騒の音が朝陽を連れて来ていた。



また今日も眠れない。

12/5/2023, 4:45:15 PM