八ツ刻 粗茶

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「あ、」

できるだけ綺麗な流星群がみたくて、街灯の少ない山道の駐車場へきた。
空を飛び交う流れ星が綺麗で、隣で見ている彼女の表情が見たくて顔をむける。

「綺麗だねぇ」

そういう彼女の黒い瞳に映る、輝く星々。
空にあるものよりももっと綺麗に見えて、ずっと見ていたくなる。

「なぁに?」
そう言いながら微笑む彼女に、なんでもないと返しながら手を握った。

(空じゃなくても、特別な天体イベントじゃなくても、きらめきってすぐそばにあるんだな)

このきらめきは奇跡だ。この先失ったらもう二度と手に入らない何よりも貴重なもの。
ずっと大切にしよう。そう心にきめて、握る手に力を込めた。

9/4/2023, 2:02:09 PM