「ねぇ、星って何味だと思う?」
「そうだなぁ……」
「意外と酸っぱかったりして」
部活終わり、駅の改札で偶然出会った幼馴染と帰路に着く。
日は暮れて空は赤と紺が混じり風が少し強い。
星たちも薄雲に紛れながら顔を出し始めている。
なんとなく一番星に手を伸ばす。
指先を限界まで伸ばし掴もうと手を開いたり閉じたりするけど、当然触れるわけもなく。
空を掴んだ腕を下ろした。
お腹すいたなぁ、なんて思いながら後ろを振り返ると、
同じく一番星に手を伸ばしてるヤツの姿が目に入る。
伸ばされた指先は、確かに何かを掴んだように閉じられた。
「何してんの?」
「星取った」
「はぁ?取れるわけないじゃん」
「まあまあ、手出して」
言われるまま手を差し出すと、手のひらにコロンとした感覚が伝わる。
期待していなかった分、何かの感覚が伝わったことにドキッとする。
「……金平糖?」
「特別な」
そう言い残し、塀の上を歩いていた猫に話しかけながら先に行ってしまった。
渡されたピンクの金平糖を指先で掴み直し見つめる。
空を見上げると雲のせいか一番星は見当たらない。
金平糖を一番星が輝いていた空に重ねる。
そのままピンクの一番星を口に含んだ。
「……あま」
ヤツは自分が掴んだ惑星の意味を知っているのだろうか。
「星に願って」2025.02.10
2/11/2025, 12:07:15 AM