夏の強い日差しが降り注ぐ。
まとわりつくような湿気を連れて、熱く肌を刺していく。
時折、その熱さに紛れて、肌の表面をぞわりと擽るような感触が、通るときがある。
細く柔らかな刷毛に撫でられたような、そんな感覚だ。
気付かぬうちに小さな虫が肌の表面に止まったのか。髪の毛束がはらりと落ちたのか、それは分からぬが。
私はまだ一度だってその虫を目で捉えられたことなどないし、私の髪は幼少の頃からずっと、肩になど掛かったこともない、ショートヘアーなのだけれども。
【日差し】
7/2/2023, 10:34:28 PM