ミントチョコ

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「あーさむっ」

私は冷え性の手をこすり合わせて呟いた。

学校が終わって、帰ろうと思ったら今日は凄く風が強くて・・・。
冷え性の私の手は雪女みたいに冷えていく。

「はぁーはぁー」

自分の息を吹きかけてみても、全然温まらない。

「もう、早く帰ろうっと」

歩みを早めて帰宅しようとした時、

「水月!」

呼び止められた。

「あ、高瀬」

同じクラスの高瀬が息を切らせて駆けてくる。

「今帰り?」

と聞かれて、

「あ、うん。日直の仕事してたら遅くなったよ。高瀬は?」

「俺も、先生に提出物出してから帰ったから遅くなった」

「へー」

普段そこまで仲よくないけど、まあまあ話す関係の高瀬。
こうして二人で話す機会も珍しいな。

そう考えていると、風が勢いを増す。

「寒っ、もーカンベンしてほしいよ、この寒さ」

私が震えながら一層手をこすり合わせると、高瀬が、

「はいっ」

と、手ぶくろを渡してくれる。

「え?これ、高瀬の?」

私が聞くと、

「そうだけど、貸すよ。俺けっこー暑がりだし。うちの母親がいつも勝手に入れちゃうんだ」

「いいの?」

「いいって」

そう言われ手ぶくろをはめる。

途端に寒気を遮断された両手にじんわりと温かみが戻って来る。

「高瀬〜!ありがとー!すっごく生き返った!!」

私が高瀬の両手を握ってお礼をいうと、高瀬は、

「あ、うん・・・どーいたしまして」

と顔をそむけて返事をする。

私達はそのまま、分かれ道まで話して帰ったけど、手ぶくろがあるだけで、帰り道は、大幅に快適なものになっていた。

「明日は、私も手ぶくろもってくるから、ありがとねっ」

分かれ道で手ぶくろを取ろうとした私に、高瀬は、

「いいよ、明日で。家まで寒いだろ?」

と言ってくれる。優しいな・・・。

「ほんとーにありがと!明日返すね!」

「おう、またな」

片手を上げて手を振り、高瀬と別れると、私の心はほかほかと温まっていた。

手も暖かいし、高瀬とのやりとりも嬉しくて心が温まった。

明日、また高瀬と話すの楽しみだな。

私はご機嫌で家までの道をはずんだ足取りで進み出した。

12/27/2023, 10:45:11 AM