たーくん。

Open App

やっと、俺にも彼女が出来た日。
ここまで、本当に長かった。
嬉しすぎて踊りそうになったけど、高ぶる気持ちをぐっと抑える。
「今日から恋人だから、私のこと名前で呼んでほしいな」
「分かった。友子、改めてよろしく。君のこと大事にするよ」
そして、初めて君の名前を呼んだ日でもあった。
「……私、友美なんだけど」
「えっ、ああ!そうだった!友美だ!友美!」
「やっぱり噂は本当だったのね。あんた、色んな女の子に手出してるでしょ?」
「いや……そんなことは……」
冷や汗が頬を伝う。 
毎日、複数人の女の子達と話しているから、つい名前を間違えてしまった。
しかも噂になっているとは知らなかった……ど、どうしよう。
「動揺がモロに顔に出てるわよ。はぁ……噂は嘘だと思ってたのに……信じた私が馬鹿だったわ」
「と、友子が本命なんだ!信じてくれ!」
「だから私は友美だってば!この馬鹿!」
ボクサーのパンチより素早いビンタを飛んできた。
頬にクリティカルヒットし、俺は見事にノックアウト。
友子……いや、友美は早足で教室から出ていった。
俺は、今日という日を忘れないだろう。
彼女が出来たと思えば、名前を呼び間違え、ビンタをされて振られた日のことを。
ヒリヒリと痛む頬をさすりながら、そう思った。

5/26/2025, 11:24:16 PM