「オイディプスが目を潰したのは、彼には何も見えていなかったからだ。」
私の前に舞い降りたあなたは、機械仕掛けの神様。
柔らかそうなネコ毛の髪は天使っぽいなと思っていたけれど、地上に神様が舞い降りたっていう表現にふさわしい雰囲気をまとっている。
実際あなたは、暗がりのあの世界にどっぷりと
浸かってしまっていた私を、あっという間に掬いあげてしまった。愛憎渦巻く狭い路地裏、ボロ雑巾
同然の私の前に、ただ現れただけなのに。
あれから身体の傷が戻るよりもはやく、心があなたに取り込まれていくのを止めることができない。
あなたが何を思ってオイディプスの話をしだしたのか私にはわかる。でも、私はあなたを信仰することでしか自分を信じる手段をなし得ていないから。
幸せが遠くにあると信じて、逃げられない。
7/27/2023, 11:19:17 PM