koyagi

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「さよーならー」
階段を降りて、体育館へ向かう。
しかし、その足取りは重い。
今日も部活か…。
決して、楽しくない訳じゃない。
ただでさえ授業で疲弊している。
この後のきつい練習を考えれば頭も抱えたくなるのだ。
そしてなんとも顧問が苦手。
指導内容は間違って無いかもしれないけど、
指導方法がちょっと……。
士気が下がるような事ばっか言ってるし、
自分が1番偉いと思ってるし。
来年飛ばないかなー。
内心で愚痴大会している内に、体育館に着いてしまった。
性格の悪い僕は、練習時間を少しでも縮めるため、
わざと時間をかけて、ユニフォームに着替え、
バッシュを履いた。
部員のほとんども、今日は疲れた顔をしている。
うんうん分かるぜとだる絡みしたいほどだったが、
辞めておいた。
黙々とウォーミングアップに取り組む。
すると、続々と先輩達がやってきた。
ミーティングの時間だ。
部長が前に立って話す。
神妙そうな表情で話し始めた。
何かあったのかと不安が募る。
「今日は……」
部員全員、ゴクリと唾を飲み込んで次の言葉を待った。
永遠とも思われる数秒が経ったあと、
突然嫌な笑みを浮かべて、叫んだ。
「顧問が、出張でいませーーんっ!!」
その言葉を瞬時に聞き取り、理解した僕たち。
部長が全部を言い終わらない内に、飛び上がって
雄叫びを上げた。
「うぇぇぇぇい!!!!」
疲れなんかどこかに吹き飛んだ。
今日はなんて素晴らしい日なんだ。
「まじか!えぐいえぐいww」
「何する!?何する!?」
「よっしゃぁ!」
「今日は、」
『祭りだぁっっっ!!』

10/9/2024, 11:27:41 AM