海月

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「 子猫。」/ 昨日起きた実話です。


新しい彼氏ができて、もう1ヶ月が経った。最初は優しかった彼。何か困ったことがあれば、いつでも手を差し伸べてくれて、まるで私を守ってくれるような存在だった。私は彼に、どこか救われるような気持ちでいた。こんな風に誰かに大切にされることがあるんだと、初めて実感した。

けれど、それはあっという間に崩れ始めた。彼の言葉が、次第に鋭くなっていった。最初は小さなことだった。

「もっと痩せた方が可愛いんじゃない?」
「そんなこともできないの?」

彼の冗談交じりの言葉に、最初は笑って流していた。彼が言うから、ちょっと努力しようと思った。それでも、彼の言葉は日に日に厳しくなっていった。

「デブだから痩せろって言ってんだよ」
「お前、ほんと使えないな」

いつしか、彼は私の人格そのものを否定するようになっていた。私は彼の前で萎縮し、いつも小さくなって生きるようになった。彼の機嫌を損ねないように、怯えながら日々を過ごしていた。

暴力も、受けるようになった。少しのことで手を上げられ、言葉で攻撃されることが増えていった。泣きたかったけれど、泣いてもどうにもならないとわかっていた。だから耐えた。でも、それがモラハラというものだと気づいたのは、友達に相談したときだった。

「別れたほうがいいよ。そんな男、やめなよ。」
「そんなの、愛じゃないよ。」

みんながそう言ってくれた。けれど、私は離れられなかった。彼と別れることで、何か大切なものを失うような気がしていたのかもしれない。愛しているわけでも、彼が必要だと感じていたわけでもない。ただ、私が彼を失うことが怖かった。

それでも、付き合って3ヶ月が経ち、私の心は限界を迎えていた。鏡に映る自分は、まるで迷子になった子猫のようだった。誰かに助けてほしいと、声にならない声を上げているように見えた。

「もう別れよう。」

そう伝えた時、彼の反応は意外とあっさりしていた。

「そう?じゃあ、別れようか。」

それだけだった。あんなに私を支配していたはずの彼が、私に対して何の未練もなく、簡単に離れていった。その瞬間、私は彼が私を最初から愛していなかったことに気づいた。彼にとって、私はただの存在、何の意味もない存在だったのだ。

私は静かに涙を流した。愛って、なんなんだろう。本当の愛って、どこにあるんだろう。彼の腕の中にあるはずだったものは、ただの空虚だった。

その夜、私は一人でベッドに横になりながら迷子になった子猫のような自分を抱きしめた。

11/15/2024, 12:34:16 PM