君の背中を追って
いつの日からか君が目につくようになった。
成績優秀。
容姿端麗。
品行方正。
良い子の集合知のような貴方。
気に食わなかった。
一番ははいつだってあたしだったのに。
だからねじ伏せようとして、血が滲むような努力をした。
食事を、睡眠を切り詰められるだけ切り詰めて。
あくる日も、あくる日も。
頑張って、頑張って、頑張って、頑張って。
倒れるくらい限界になって、ようやく気づいた。
君は手が届かないところにいる。
ずっとずっと、てっぺんの近く。
そのお膝元に君はいる。
手が届くはずがない。
持ち合わせた"モノ"が、
"才能"が、違いすぎる。
あたしは普通の子になった。
一番じゃ無ければ、誰だってあたしを見はしない。
あなたは凄い子ねと言った先生も、
これなら将来は心配ないなと行った担任も、
あなたなら何だってできるだろうと言った顧問も、
教えなくたって大丈夫だなと言った塾の先生も、
もうあたしなんて見向きもしない。
あたしは頑張ることを辞めた。
君は無敵だった。
君の背中を追っていた日々。
君の背中を追う意味がなくなった日々。
一番であることへの執着との乖離。
かわりの、君への執着。
君の背中を目で追い続ける。
お膝元から滑り落ちるか、てっぺんにたどり着くか。
その日になるまで、君を見続ける。
その日が来るまで、決して君から目を背けない。
6/21/2025, 10:53:41 AM