今日という日の喜びを祝福して、鐘を鳴らそう。
離れ離れになっていた、ジョバンニとカムパネルラが再会できたこの良き日に。
再会出来た二人は、これから、
離れ離れの間にそれぞれが見つけた「ほんとうのさいわい」について語り合うのだろう。
何と心温まる光景だろうか。
ここで私の文章を読んでいる皆様は「銀河鉄道の夜」を読んだことがあるだろうか。
私は中学生の時に読んだのだが、ラストの一文がどうも腑に落ちなかった。
あれほど二人で「ほんとうのさいわい」を見つけようと言い合っていたのに、何故ジョバンニはカムパネルラを諦めてしまうのかと。
幼心なりに友情とは…と、ある種虚無のような感情を抱いたのを覚えている。
その後、大人になってから漫画版の銀河鉄道の夜を読む機会に恵まれた。
子供向けに編纂されたその本を読み、
当時の自分の浅はかさを思い知った。
「ほんとうのさいわい」を見つける為には、
今できることを精一杯に行うこと。
当時の私が腑に落ちなかったラストは、ジョバンニが今の自分にできることを選択し、実行するところで物語が終わっていく。
ジョバンニは「ほんとうのさいわい」の為に動いていたのだ。
カムパネルラと交わした「ほんとうのさいわい」を見つける為に──。
もう出会えないと思っていた二人は再会し、笑顔を浮かべている。
もう、その手を離してはいけない。
今度こそ二人で「ほんとうのさいわい」を見つけてほしい。
祝福の鐘を鳴らそう。
二人の「再会」に。
祝福の鐘を鳴らそう。
二人の「さいわい」が永遠に続くように。
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鐘の音
ライオンズゲートが開かれている今。
願いは叶うのだと、宇宙も歌っている。
8/5/2024, 2:06:55 PM