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月夜…

君は 覚えているだろうか

俺の父ちゃんさ 大工なんだ
俺も大きくなったら 大工になるんだけど
そしたら お前におっきな家を建ててやるな!

もう それはプロポーズなんじゃないの

と 子供ながらに思った小学生の遊び友達の男の子

時は過ぎ 建築の仕事をしている
全く別の歳上の彼に出会う
歳上なのに 少年のような顔で笑う好きだった人

好き好き光線を送り続けて気付いているはずなのに
知らんぷりする 悪い男
その人に誘われた夜のドライブで
蒼い月夜の海辺で 仕事の夢を語り それを
静かに 頷きながら聞いた

夢を語る 思わせぶりな 悪い男
こんな素敵な月夜の海辺で うっとりするような
告白を 聞きたかったなぁ…
この人に お前と暮らす家を建てるよ なんてね
言われたかったなぁ…

小学生の時のあの子じゃないよね?
あんなに ニッコリ笑って熱烈なプロポーズされたのに ごめん
名前 忘れちゃったよ
あの時の彼が この人だったらなぁ なんて
蒼い月夜の光の中で
うかつにも
願ってしまったんだよ

名前は 覚えていないけど
小学生の時のあの顔を真っ赤にして言ってくれたの
ずっと 忘れないよ
ありがとね


*読んで下さり ありがとうございます*

3/7/2024, 11:04:27 AM