雨の日の風景が好きだ。葉を、花を、土を、空から零れ落ちた雫が濡らす。雨音が余計な雑音を遮断し、狭まった視界に見えるのは草木と水が描く線のみ。普段は苦手だが、雨の匂いに混ざってほんの少し香る煙草の匂いは嫌いではない。見上げれば予想通り捉えた人影。雨に佇む君はいつもとは違う儚さを纏っていて。薄暗い世界に溶けてしまいそうな彼は、広がらない煙を見届けると人工的な灯りが照らす室内へと戻っていった。今日も雨は嫌いになれない。【雨に佇む】
8/27/2022, 1:41:02 PM