テーマ・もっと知りたい 《ゆるりと小道を3》
のどかな田んぼの街並みを見ながら蒸し暑い小道を2人。みさとりさが1本の日傘に入って歩いている。めざすは高校生の頃よく通っていたラーメン屋。ここからバス停まで歩いて30分。バスで40分。そこから歩いて20分。気が遠くなるほど時間がかかる。でも今は2人だからきっと静かで穏やかな時間になるだろう。みさといろんな話をした。大学で何を学んでいるのか。サークルは楽しんでいるか。単位は大丈夫かなど、たくさん。バスを降りた後はただ気まずくない沈黙が静かに座っていた。
「りさ。もうすぐだよ」
「うん。そうだね。」
お互いヘトヘトになっていた。やっとの思いでたどり着いたラーメン屋で冷やし中華と生ビールを頼んだ。注文を言い終えると、店主は「また2人の顔が見れて安心したよ!」と元気な声で言った。しばらく疲れたねと言い合って静かな雰囲気が流れていた。そんな中みさが話を切り出した。
「りさ、、、あのね。私相談したいことがあるの」
「どうしたの?」と言いかけたところで店主が
「お待ちどうさま!」と冷やし中華と生ビールを持ってきた。枝豆をサービスで出してくれた。
「食べよっか!」さっきまでの深刻さとは打って変わってみさは元気だった。無理しているのが直ぐにみてとれた。
「後で聞くからね」と言って、冷やし中華をすすった。生ビールののどごしは最高だった。まだ腑に落ちないものが詰まったままだった。もっと深くまで知りたいと願うのは不躾なのだろうか。あれだけうるさいセミも、もう気にならなかった。
3/13/2024, 7:42:55 AM