〈お題:街の明かり〉ー評価:駄作も駄作
雨が、降っている。
街灯が点滅している。
「そんなところで寝てるなよ。おい!」
私にとって、それは夢のような時間だった。
「こんな道端で寝てるなよ、おい」
全てが崩壊する。
見知った街並みが、赤褐色に染まる。
「聞いてるのか!おい!」
キィーンとした耳鳴りが徐々に高まっていく。
これはもう、助からない。
その直感だけが私の感ずる全てだった。
「返事をしろ!」
街が、知らない男の顔に成り代わって、その口が訳の分からないことを語っている。
「救急車はもう呼んだから、後は…後は!」
助からない。この男は、何をそんなに叫んでいるのか。私はこのまま、深い眠りへ、静寂を求める。
「頭を強打しているから、このまま動かさないで」
こんな風に時間を無駄にする男が憎らしい。
彼が複数人、いや、よく見たら何か違う。
「…現時刻から心肺停止を確認)
雨音が遠くて聞こえない。
耳鳴りが激しく鳴っている。
キィキィと頭蓋骨が軋む音だ。死の音だ。
死が目の前に迫ったのが分かる。
酷く寒くて、二度と戻れないと云う。
街灯の点滅が、街の明かりが脳裏に浮かぶ。
とても滲んだ赤褐色に私は縋った。
7/8/2024, 12:33:35 PM