あなたは物静か。誰にも心を許さない。そんな貴方に唯一愛してもらう方法を見つけました。
何も食べず、食べれば吐いて。それを繰り返し、痩せ細った私の前にあなたは静かに佇んでいた。そんなあなたの手を引いて、今度は浴室に入る。カミソリと、溜めた湯と、そこに浸す腕。静かに静かに血の風呂が出来上がっていく。意識が薄れていく中で、あなたはただ私を見下ろしていた。知っている。あなたはこの光景をもう飽きるほど見ている。「死」そのものであるあなたには響かないのかもしれない。それでも、それでも。私が意識を失うその一瞬、あなたが少しでも私を見てくれるのなら。
「ずっと好きでした」
全ての体の力が抜けて、濃い死の匂いが浴室を満たしたその時。あなたはただ、そばにいてくれた。ああ、返事が聞きたいな──最後に思ったのは、そんなことだった。
5/20/2023, 6:34:20 PM