空が泣く
「もう…知らない!!」
駆け足で玄関を去っていく君
きっかけは些細なことだった
ショートケーキの苺を最初に食べるか後か、とか
メモする時は縦書きか横書きか、とか
そんなくだらない事だったのに
いつの間にか大喧嘩になって、彼女は出ていってしまった
だが、追いかけようと急いでドアを開けた時
彼女は目の前に立っていた。
「……あれ?」
「雨、降ってたから」
外は雷鳴が轟いて風も強かった、忘れていたが
そういえば台風が来るんだっけか
もしかして彼女の心情を表していたりして……?
なんてメルヘンな僕の頭だろうか、そう思いながら
「……とりあえず、家入らない?」
「…うん」
彼女を家の中に入れ、少し濡れた洋服を
タオルで拭いてあげた。
しばらくすると雨は止み、
彼女の大好きなプリンを食べさせてあげたら
先程の豪雨が嘘のように、綺麗な青空になっていた
偶然とはいえど、少し不思議な体験をしたものだから
僕は彼女の幸せそうな顔を見て
微笑ましい気持ちになった。
もう僕は、空を泣かせない
そんな事を思いながら
9/17/2024, 7:28:54 AM