香草

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「海の底」

なんていうんだろ。
雨の雫を触っているような、スベスベで柔らかい石を触っているような。
手のひらを柔らかく滑ってパッと海面に昇っていく。
いるかはそうやって泡を楽しむ私に合わせて息をしてくれている。
ぼんやりとゆらめく光に照らされた泡を見つめながら私は眠気に頑張って打ち勝とうとしていた。
もう遠くへ行ける力も術もないのだ。
人生の全てを賭けてしまった自分のせい
もう突き刺すような太陽も拝むこともできない。
しゅわしゅわといつか飲んだ炭酸のような感覚が足の先に広がる。
いや、泡になってしまえば昇れるのか。
このいるかの泡のようにまるくてふわふわしたものになれば私もまた光のもとへ行けるかもしれない。
心地よい炭酸に包まれる。
いるかは泡を追いかけて海面に飛び出した。

1/21/2026, 10:24:19 AM