桔花

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・きらめき
それは、幻想的な光景だった。無数の光の粒がゆったりと宙を舞い、剥き出しの木の床に降り積もっていく。
何で、こんなことに。
一歩、重い足を前に出すと、ふうわり、光の粒が形を変えて舞い上がる。浮世離れしたきらめきが目に痛い。
ごほ、ごほっ!
ほんの数日。ほんの数日、留守にしただけなのに。窓枠に指を滑らせると、白い粉が筋をつくった。
お爺さん…お婆さん…
溢れた涙が、床に斑点をつくる。その手から、カランと豪奢な箱が落ちた。

9/4/2023, 12:34:31 PM