いいてんき

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星空の綺麗な夜だった。
幼馴染の静香は、星空が好きだった。
特別星に詳しいわけでもなく、なにかの思い出が星を結びつけているわけでもない。
ただ、星が夜空に散らばり、一つ一つが個性を持って光り輝く光景に、心を奪われたそう。
逆に俺はと言うと、星空も、星も、空についても、何一つとしてピンと来るわけでもなく、ただそれが綺麗で美しい、という感想でピタリと終わってしまう。
それ以外もそうだった。
静香は星空の他にも、好きなものがある。
俺はというと、特に何も無い。
何も無いから、どうという訳でもないのだが。
個性が無い、無個性の人間だった。
スポーツも、勉強も、本も、映画も、アニメも、漫画も、絵も、音楽も、食べ物も、すごいの一言で片付けてしまう。
俺は、無個性だ。
「どうしたの蓮」
「いや、んだよ。なんでもねぇし」
「そう?……星、綺麗だねぇ」
「おう。だな」
星空。
田舎だから、よく見る光景。
「じっくり見るだけで、浄化される?っていうか、なんか……楽しいんだよね」
星空。
静香が大好きな空。
「静香」
星空。
静香らしい、一つ一つの彼女の好きが、楽しいが、散りばめられて光った星空。
「俺さ」
星空。
昔、静香が星空を見てこう言った。
『綺麗で、美しいで、それだけで、満たされちゃうんだよね。好きって、単純だよね』
俺も、そう思えた。
「好きなもん、みっけた」
「え、なになに!?」
静香。
「お前」

【俺の星空】

7/5/2023, 10:02:41 AM